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ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

2018年10月8日~12月16日 広島県立美術館開館50周年記念

2018/08/21

広島県立美術館にて、10月8日(月・祝)~12月16日(日)の期間、特別展「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」が開催されます。

ピーテル・ブリューゲル1世は、聖書の世界や農民の生活などを描いた作品で知られる16世紀フランドル※を代表する画家です。その類まれなる才能は子孫にも受け継がれ、4世代およそ150年にわたって、優れた画家を輩出し続けました。
「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」では、貴重なプライベート・コレクションを中心に、選び抜かれた約100点を通じて、ブリューゲル一族の画業が紹介されます。一族や同時代のフランドルの画家たちが手がけた風景画、風俗画、花の静物画など、そのほとんどが日本初公開となる作品により、16、17世紀のヨーロッパ絵画史を彩った、画家一族の芸術の多彩な魅力に迫ります。

※フランドル:現在のベルギーにあたる地域

展覧会の構成

第1章 宗教と道徳

ブリューゲル一族の祖であるピーテル・ブリューゲル1世は、アントウェルペンのピーテル・クック・ファン・アールストの工房で芸術家としての修練を積みました。しかし、師の作風から影響を受けることはなく、むしろ、「奇想の画家」とも呼ばれるヒエロニムス・ボス風の幻想的な作品で人気を博します。ただし、ボスが現世で愚行に走る人々への批判を作品に込めたのに対し、ピーテル1世は、多少の皮肉は含みつつも、より親しみのある目で人々の営みを観察し、忠実に描き出そうとしました。この観察眼は彼の二人の息子とその子孫にも受け継がれ、150年以上続く類まれな芸術伝統を確立していきます。

第2章 自然へのまなざし

16世紀、イタリアでは、ルネサンスの巨匠たちが、宗教や神話の物語を題材に理想的な人体や人間の美徳を作品に表しました。しかしネーデルランド※では、宗教改革の影響などにより、聖書の物語や人体表現よりも自然の偉大さへと関心が移り、風景描写が芸術の主題となっていきます。イタリアに旅したピーテル1世も、人間中心のイタリア美術よりもアルプスの力強い山岳風景に目を留めました。彼の自然への関心は、とりわけ次男のヤン1世に受け継がれ、彼とその子孫によって優れた風景画が生み出されました。

※ネーデルランド:現在のオランダ、ベルギー、ルクセンブルクのベネルクス三国と、ドイツ、フランスの一部を含めた地域

第3章 冬の風景と城砦

ピーテル1世の息子たち、とりわけ兄のピーテル2世は、父の作品の模倣作(コピー)を生涯にわたって制作し、父の様式を世に広めることに貢献しました。なかでも≪鳥罠≫は数多く手がけた作品で、これらの模倣作によりピーテル1世が描いた冬の風景を広めるとともに、冬の農村風景を風景画の一分野にまで高めました。
一方、ピーテル1世が繰り返し描いた城砦のモティーフを受け継いだのは弟のヤン1世で、油彩や素描でたびたび実在の城を描きました。第3章では、イタリア旅行時の制作とされる素描作品などが紹介されます。

第4章 旅の風景と物語

ブリューゲル一族が活躍した都市アントウェルペンは、16世紀以降、商業や金融活動によって栄え、ヨーロッパ経済の中心地となっていきました。繁栄を担った中産階級の人々にとって、船は貿易による富や未知の品々、新しい情報をもたらす冒険の象徴として好まれたモティーフであり、旅や行商といった人や物の移動とともに、この街で活動する画家たちの新たな画題となっていきます。
第4章では、ピーテル1世が下絵を描いた船を主題とした版画や、ヤン1世とその長男ヤン2世らが描いた、旅人や商人の行き交う街道風景などが紹介されます。

第5章 寓意と神話

寓意画や神話画は、愛や平和、人間の感覚といった抽象的な概念や実体を持たないものを視覚的に理解するための手段として、17世紀に好んで描かれました。ブリューゲル一族の中でこれらのジャンルを得意としたのは、ヤン1世とその息子のヤン2世で、とくにヤン2世は多くの寓意画を残しています。
寓意画には、自然の中から形而上学的な実存を見出そうとするイタリア・ルネサンスの思想も反映されていますが、一族の作品には、思想以上に細部への意識が強く感じられ、注意深い自然観察と精緻な描写というネーデルランド地方の伝統を見ることができます。

第6章 静物画の隆盛

ヤン・ブリューゲル1世、ヤン・ブリューゲル2世≪机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇≫<br>1615-1620年頃 Private Collection
ヤン・ブリューゲル1世、ヤン・ブリューゲル2世≪机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇≫
1615-1620年頃 Private Collection
ブリューゲル一族は、16世紀末以降の静物画の発展に大きな役割を果たしました。とりわけ、ヤン1世は花の静物画という分野を開拓した画家の一人で「花のブリューゲル」とも呼ばれ、その子孫も花の静物画家として活躍しました。
フランドルの静物画が発展した時代には、当時の貴族の収集活動の原則に倣い、希少性や貴重性、異国情緒といった性質を備えたものがもてはやされました。花の静物画の中でも特筆すべき存在であったチューリップは、16世紀にトルコからもたらされて貴族たちに珍重され、一族の画家たちも好んでこの花を描きました。

第7章 農民の踊り

ピーテル・ブリューゲル2世≪野外での婚礼の踊り≫<br>1610年頃 Private Collection
ピーテル・ブリューゲル2世≪野外での婚礼の踊り≫
1610年頃 Private Collection
ピーテル1世は、同時代の農民たちを描き、「農民画家」とも呼ばれました。彼が描いた農村の伝統行事や婚礼の場面はとくに人気があり、息子や周辺の画家たちによっても繰り返し描かれています。
こうした農民を描いた作品は、粗野な存在として彼らを風刺するものと考えられてきました。しかしブリューゲル一族の作品にはそうした非難は見られず、むしろ彼らの勤勉さや実直さ、素朴さを称えてさえいるようです。ピーテル1世は農民たちに交じって祭りや宴を楽しんだといわれます。そうした農民たちへの親近感もまた、息子たちへと受け継がれていったのです。

関連イベント

講演会1
ブリューゲル一族の華麗なる系譜
農民のブリューゲルから花のブリューゲルへ

日時 10月8日(月・祝)14:30~16:00[開場14:00]
講師 千足伸行(広島県立美術館館長、成城大学名誉教授)
場所 地階講堂(先着200名)
※事前申込不要 ※聴講無料

講演会2(共催:広島県立美術館友の会)
ブリューゲル一族の系譜と作品制作をめぐる状況
日時 10月20日(土)13:30~15:00[開場13:00]
講師 高城靖之(東京都美術館学芸員)
場所 地階講堂(先着200名)
※事前申込不要 ※聴講無料

ウェブレポーター大募集
日時 10月12日(金)17:00~18:30
場所 3階ロビー
対象 インターネットを通して本展PRにご協力いただける一般の方
※事前申込不要。実施当日に限って本展にご招待します。

ロビーコンサート
(1)16世紀フランドルの音楽
(ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、打楽器など)
日時 10月20日(土)12:00~
演奏 ファナ古楽合奏団
会場 1階ロビー
※事前申込不要 ※鑑賞無料

(2)初期バロックの音楽~スウェーリンクからの潮流
日時 12月1日(土)12:00~
演奏 中川試歩(ソプラノ)、田尻建(テノール)、福原之織(チェンバロ)
会場 1階ロビー
※事前申込不要 ※鑑賞無料

写真撮影について
10月31日(水)までの期間限定で、一部作品の撮影が可能です。
※作品保護等のため、撮影時の注意事項をお守りください。

4世代ファミリー特別ご招待!
ブリューゲル一族にちなみ、4世代そろってご来館いただいた場合は、本展に無料でご招待します。(11月中、限定150組)
※1階受付でお申し出ください。
※写真を撮影させていただく場合があります。

ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

期間 2018年10月8日(月・祝)~12月16日(日)
会場 広島県立美術館(広島市中区上幟町2-22)
料金 一般 1,500円(1,300円)/高・大学生 1,000円(800円)/小・中学生 600円(400円)
※( )内は前売り・20名以上の団体料金
※学生券をご購入、ご入場の際は学生証のご提示をお願いします。
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳及び戦傷病者手帳の所持者と介助者(1名まで)の当日料金は半額です。手帳をご提示ください。

前売券販売所 広島県立美術館、セブンイレブン(セブンチケット)、ローソン(Lコード 62239)、チケットぴあ(Pコード 769-176)、イープラス、広島市・呉市内の主なプレイガイド、画材店・画廊、ゆめタウン広島などで販売されています。

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