ＬＩＦＥ！
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監督：ベン・スティラー（ズーランダー、トロピック・サンダー/史上最低の作戦、他）
ストーリー＆脚本：スティーヴン・コンラッド（幸せのちから）
キャスト：ベン・スティラー、クリステン・ウィグ、シャーリー・マクレーン、アダム・スコット、キャスリン・ハーン、ショーン・ペン、バットン・オズワルド

恋の力は日常を破壊する！

ニューヨークにある雑誌ＬＩＦＥのオフィスで写真管理の仕事をしているウォルター・ミティ（ベン・スティラー）は、空想癖のあるさえないサラリーマン。不器用で人付き合いも苦手。そんな彼は、同僚のシェリル（クリステン・ウィグ）に片思い。自分の気持ちを伝えられない。そのような時、デジタル化の波に押され雑誌「ＬＩＦＥ」も最終号を迎えることになった。
ところが、最終号の表紙に掲載するはずの写真のネガが見当たらない。有名な写真家ショーン（ショーン・ペン）が最終号の記念にと送ったというのに！！

ウォルターは、リストラ候補としても幹部に目を付けられている。16年間というものＬＩＦＥのために地味な写真の仕事をひたすらやり通した彼には思いがけないハプニングである。

気をもむ彼の背中を強く推してくれたのは、なんとシェリル。今まで、人に誇れるようなことは何一つやったことがない彼。スーパーヒーローは、彼の空想のなかでしか存在しなかった。
そんな彼がネガのありかを確認するために、なんとショーンを探しに会社を飛び出す。

飛行機に飛び乗り、車で走り、ヘリコプターからは北海の荒海に飛び込み、やっとの思いで北極圏のグリーンランドまでやってきた。途中、気弱になった時はシェリルがギター片手にデヴィッド・ボーイの曲を歌いウォルターを励ますという空想を膨らまし、ようやくやってきたというのに、ショーンはすでに立ち去った後だった！ショーンを追いかける旅はアイスランドへと続く。人見知りの彼が行く先々で少年や現地の人々と話し、交流していく・・・
そして、いつのまにか、彼は途方もない感動と自分に対する自信を手にする。

人は変化することを恐れるなというメッセージが画面を通して伝わってくる。

ウォルターの場合は、きっかけは恋だった。

この映画は、最後の最後にえりすぐりの感動を用意して観客を待っている。

よりリアリティのある映画にしたいということで「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」の視覚効果スーパーバイザー、ギローム・ロッカーロンを含むヴィジュアル・デザインのチームを結成して撮影に臨んだ。このことにより空想癖のあるウォルターの世界をより臨場感のあるものとして仕上げたという。撮影はニューヨークからアイスランドへと世界をめまぐるしく飛び回った。極寒の海にもスティラー自ら飛び込んだ。

それほど情熱を傾けて1939年の世界を現在に甦らせた手腕の結果を映画館で確かめてみてもらいたい。ウォルター・ミティと共にスケールの大きい旅と冒険を楽しむことが出来るはずだ。

サスペンスとアドベンチャーの数々。コミカルなキャラクターたち。見飽きることはない。

そして、最後に監督が用意したウォルターへのプレゼントには、心の底からウォルターとともに熱い喜びの声が沸きおこることだろう。

text by おおた　まる