ストーリー

人間の知性を超越する人工知能の研究を行っている天才科学者ウィル（ジョニー・デップ）は、妻エブリン（レベッカ・ホール）と共に、飢えも貧困もない未来のために研究をしてたが、反テクノロジーを標榜するテロ組織の手により、ウィルは命を落とす。
エブリンは、彼を失いたくないあまりに彼の頭脳をコンピューターにインストールし、サイバー空間の中で彼の意識を生かすことに成功した。
オンラインにつながったウィルは、軍事機密、金融、政治から個人情報、ナノテクノロジーから再生医療にいたる世界中のあらゆる情報を手に入れ、究極的な進化を遂げ、やがて彼は生命までもコントロールし始める。まるで神のごとき力を手にしたウィルを信じる心が揺らぎ始めるエブリン。その力に脅威を抱いた政府は密かに彼を抹殺する計画を立てる。彼は本当に自分が愛したウィルなのだろうか？この果てしなく進化し続ける「知性」を止めることはできるのだろうか？　人類の未来は・・・？

科学の進歩がもたらすものとは

映画のテーマは近未来の世界を想像させるもので、このまま科学が進歩していったらいずれ直面する問題を突きつけられているようでした。

科学が神の領域を侵すことは可能なのか？
人間が生き続けるためには、人間らしい生き方を捨てる選択肢もありうるのか？
科学やＩＴに依存してきた人間は、それらがない生活に耐えられるのか？

しかし科学はあくまでも人間が生み出すもの。
人の“想い”次第で、未来は善にも悪にもなりうるということなのでは…

愛ゆえの決断

この映画のもう一つ別の見方、それは愛する人を失いたくないあまりに夫の意識をコンピューター上で生かし続けた妻の心情。どんなに愛していても、スクリーンに映る夫のイメージと声だけで愛は貫けるものでしょうか？　しかも、それが生前の自分が知っている夫と違う人格を持っているように感じたとしたら…

どんな世界が訪れたとしても、決して人間の生身の感情は無視できない。
テクノロジー主導の世界にも希望はまだまだ見いだせると思えた作品です。

text by…ＹＵＭＩ