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TRASH(トラッシュ) この街が輝く日まで

ある日、ぼくらはひとつのサイフを拾った。 それは「大きな勇気」と「小さな希望」のカケラだった。

2015年1月9日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー!<br>(c) Universal Pictures
2015年1月9日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー!
(c) Universal Pictures
TRASH(トラッシュ) この街が輝く日まで

監督: スティーブン・ダルドリー(「リトル・ダンサー」、「めぐり合う時間たち」、「愛を読むひと」)
脚本: リチャード・カーティス(「フォー・ウェディング」、「ノッティングヒルの恋人」、「ビーン」、「ブリジット・ジョーンズの日記」、「ラブ・アクチュアリー」)
出演: マーティン・シーン(「地獄の黙示録」、「ガンジー」、「ウォール街」)、/ルーニー・マーラ(「ドラゴン・タトゥーの女」)/ヒクソン・テベス/ガブリエル・ワインスタイン/エドゥアルド・ルイス他
【ストーリー】

ブラジル、リオデジャネイロ郊外。
ゴミを拾って生活している3人の少年が、ある日、ごみ山の中でひとつのサイフを拾う。すぐに警察が現れ、サイフを見つけたら謝礼をするという話を聞き、このサイフが重要なものであることに気づく。入っていたカギに合うロッカーを探し当てて中を開くと、ある囚人あての手紙と数字が書かれたメモが。彼らの言動を不審に思った警察は、少年の一人に暴行を加え連れ去ってしまう。少年たちの保護者であるジュリアーノ神父(マーティン・シーン)は警察署へ乗り込むが、手がかりがわからず落胆する。今まで行方不明になった少年たちの悲しい末路を見てきたからだ。少年は暴行を受けて大けがを負うが、サイフに隠された秘密を解き明かすことが「正しい道」であると確信し、それぞれが手がかりをもとに動き始める。ジュリアーノ神父のもとで働いているオリヴィア(ルーニー・マーラー)も彼らを手助けするが、警察に捕えられてしまう。業を煮やした警察は彼らが住むスラムを焼き払い、街を大混乱に陥れる。背後に迫る警察の手を逃れながら、少年たちは突き止めたヒントを組み合わせて、一つの真実へと近づいていく。彼らが命をかけて追い求めた真実は、やがてこの街を輝かせる希望へと変わっていくのだった。
【みどころ】

主演をつとめる3人の少年はオーディションで選ばれ、今回が初めての映画出演。中には貧民街で生まれ育ち映画を見たこともない少年もいる。監督はあえて素人を起用することで、この作品に生の生活感を与えたかったのだろう。その期待に彼らは十分すぎるほどに応えている。俳優の中で見知っているのは、ジュリアーノ神父を演じるマーティン・シーンとその助手であるオリヴィア役のルーニー・マーラーぐらい。後はブラジルの俳優たちで、ほぼポルトガル語で会話が進む。そこが有名俳優オンパレードのハリウッド映画と違いとても新鮮だった。

毎日ゴミ山の中からめぼしいものを探してその日暮らしをしている貧しい子供たち。まともな家もなく、親もなく、教育も受けられない。ただ救いは彼らを支えてくれるジュリアーノ神父やオリヴィアの存在で、彼らのおかげで道をはずすことなくまっとうに生きている。しかし、偶然拾ったサイフが彼らの人生を大きく変えていく。執拗に行方を追う警察と、純粋な正義感から命をかけてその秘密を追求する少年たちの攻防がすごい。暴力、誘拐、焼き討ち、人質・・・。迫りくる警察の目をかわし、スラム街を縦横無尽に走り回るスピード感とスリル感。子供たちの柔軟な頭脳と行動力に圧倒された。

単なるアクションやサスペンスだけではない社会的なテーマもみどころだ。誰もが見ないようにしているこの世界の貧富の差と政治腐敗の現実がたった3人の少年によってみごとに明らかにされていく展開が痛快だ。最後のシーンには心から救われた。時間を忘れるほど夢中になれる作品。

監督のスティーブン・ダルドリーはデビュー作の「リトル・ダンサー」(2000年)、「めぐりあう時間たち」(2002年)、「愛を読むひと」(2008年)、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011年)と4作続けてアカデミー作品賞か監督賞にノミネートされている。出す作品が必ずオスカーにからんでいるので、この5作目の「トラッシュ」も賞レースに参加する可能性あり。どの賞を取っても納得できる素晴らしい作品だった。ぜひ映画館で臨場感を味わってほしい。

TEXT by YUMI