ジヌよさらば～かむろば村へ～

監督・脚本・出演/松尾スズキ
原作/いがらしみきお「かむろば村へ」（小学館 ビッグコミックス スペシャル刊）

出演/松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ、片桐はいり、中村優子、
村杉蝉之介、伊勢志摩、オクイシュージ、モロ師岡、荒川良々、皆川猿時、西田敏行

【ストーリー】
銀行マンとしての資質がなかったのか、深刻な＜お金恐怖症＞に陥ったタケ（松田龍平）は過疎化が進む小さな村“かむろば村”へ逃げるようにやってきた。財産は100万円で手に入れた空き家だけ。
ガスも水道も携帯電話も要らない！現金は使わない！と宣言したものの、暖房の無いボロ家で暮らし始めた初日に風邪をひく始末。農業を始める気なら田舎暮らしこそ現金や携帯電話が必要なのに、と村人たちにあきれられる毎日だ。

田舎暮らしを甘くみていたタケだが面倒見のいい村長・与三郎（阿部サダヲ）が経営する村唯一のスーパーで雇ってもらうことになりバイト代は食糧の現物支給で。田んぼや畑の仕事を村人たちに教えてもらいつつ、なんとか物々交換と自給自足生活になじみ始めたある日、怪しい男（松尾スズキ）が村に現れ……。

【見どころ】
「お金アレルギー」という前代未聞の主人公が繰り広げる、リアルとファンタジーが融合した物語のなかで、観客は爆笑の渦に巻き込まれる。

監督、松尾スズキ独特の感覚とインスピレーションにより、ユーモアあふれるストーリーもさることながら、「お金恐怖症の主人公」といった奇想天外な発想や一癖も二癖もある村人など彼の独創的な発想が光る。

「お金を使わずに生きる」というありえない宣言をしたタケ。“神様”と呼ばれる男、なかぬっさん。そんな彼以上にキャラが濃い村人たち。彼らのやりとりには随所にネタが盛り込まれ、劇場のあちこちから笑いが起きる。最初から最後まで笑い満載なので、がまんせずに声を出して笑ってしまったほうが気持いいかも。

とはいえ、重い過去の内容やグロいシーンもあるので、ほんわか楽しいだけの作品ではない。むしろシュールな大人の笑いを求めている人におすすめしたいと思う。

撮影場所として協力している福島県柳津町では、町をあげて「ジヌよさらば」の応援をしており、HPのトップにもドカンと大きく掲げているので、春休み、GWにロケ地めぐりをしてみるのもおもしろいかもしれない。もちろん観光する際、ジヌは必要になるのでお忘れなく！

Text by EISUKE